2023年8月15日リリース
ケニアで初の「甲子園大会」開催
開会式には松井秀喜氏からメッセージ
勝者とスポーツマンシップチームに栄冠を授与するユニークな試み
この度、ケニア共和国首都ナイロビで同国初の「Kenya Koshien Championship」(通称「ケニア甲子園大会」(*1)) が、8月12日、13日の二日間にわたって首都ナイロビ市内にあるジョモ・ケニヤッタ農工大学の野球場にて開催されました。J-ABS が進めるアフリカ55甲子園プロジェクト(*2)の一環で実施されるもので、ケニア史上初の高校生たちのための全国大会となるため、記念すべき開会式には、在ケニア日本国大使館岡庭健特命全権大使や、同大学学長代理などが参列し、さらには J-ABS のエグゼクティブ・ドリームパートナーの松井秀喜氏からもメッセージが寄せられ、J-ABS の友成代表理事が代読しました。
全国のうち 4 地区から計 15 校が予選に参加し、各地区の予選を勝ち抜いた各地区代表4校が本戦に出場しました。トーナメント方式の本戦を経て、地元ナイロビ市内のオリンピック高校が優勝しました。
J-ABS は、昨年7月にケニア野球連盟とベースボーラーシップ™教育(*3)パートナーシップ協定を結び、同国で野球を通じた人材育成の事業を展開しています。ケニア甲子園大会の直前には、指導者、審判、スコアラー、教員を集めたベースボーラーシップ教育セミナーを3日間開催しました。また本大会は、優勝を目指すことと同時に、規律・尊重・正義といったスポーツマンシップをいかに発揮するかを競うものとしました。試合前と後には 整列し礼をして相手チームや審判にリスペクト示し合う、死球を与えたら謝る、相手チームの好プレーには拍手を送る、など、随所に日本型の野球文化が見られました。
この大会の特徴は、優勝チームだけでなく、こうしたスポーツマンシップをもっとも強く発揮したチームを「ベースボーラーシップ賞」として表彰した点にあります。ケニア人による評価委員会が、大会期間中の各チームの態 度や振る舞いを評価し、もっとも素晴らしいパフォーマンスを示したチームを選定しました。アフリカで初めての「ベースボーラーシップ賞」は、準優勝のアブラハム・グランドサン高校に授与されました。
<松井秀喜氏からの英文メッセージの和訳>
ケニア甲子園大会に参加する選手のみなさん、関係者のみなさま、こんにちは!
ニューヨークから松井秀喜です。第1回ケニア甲子園大会の開催、誠におめでとうございます。
日本の甲子園大会は100年を超える歴史がある夢の舞台です。ぼくは素晴らしい指導者と仲間に恵まれ、4回出場することができました。16歳で初めてバッターボックスに立った時は足が震えて止まりませんでした。ワールドシリーズでもそこまで緊張したことはありません。
試合が始まったら、みなさんも緊張するかもしれません。これまで練習してきた自分を信じ、仲間を信じて思い切り楽しくプレーして下さい。 きっと素晴らしい体験になり、忘れられない思い出ができるはずです。
そしてベースボーラーシップの精神で、規律・尊重・正義を発揮しながら、優勝目指して頑張ってください。
ケニア甲子園大会がこれから100年続く素晴らしい大会になっていくよう、大会関係者のご尽力に期待しています。
以上
■(*1)第一回ケニア甲子園大会(The 1st Kenya Koshien Championship)について
日 時:2023年8月12日(土)、13(日)
場 所:ジョモ・ケニヤッタ農工大学内野球場
主 催:ケニア野球連盟(Baseball Federation of Kenya(BFK):タイタス・ムトゥウィリ会長)
共 催:一般財団法人アフリカ野球ソフト振興機構(J-ABS:友成晋也代表理事)
協 力:在ケニア日本大使館、JICA ケニア事務所、ジョモ・ケニヤッタ農工大学、NGO「IfWeBuildIt」
出場校:
1.フレンズ高校 西地区代表
2.オリンピック高校 ナイロビ都市地区代表
3.アブラハム・グランドサン高校 沿岸地区代表
4.ンカイムルーニャ高校 マサイ地区代表
試合日程と結果:
<第 1 日>
準決勝① フレンズ高校 0 – 20 オリンピック高校
準決勝② アブラハム・グランドサン高校 13 – 9 ンカイムルーニャ高校
<第 2 日>
三位決定戦 フレンズ高校 4 – 15 ンカイムルーニャ高校
決勝 オリンピック高校 25 – 10 アブラハム・グランドサン高校
受賞チーム、個人:
優勝: オリンピック高校
ベースボーラーシップ賞:アブラハム・グランドサン高校
■(*2)アフリカ55甲子園プロジェクトとは
J-ABS が進める主軸事業。アフリカの54か国と1つの地域を対象に、野球を通じた人づくりと競技の普及を目的に、アフリカ各国で全国大会(甲子園大会)開催を25年計画で広げていくプロジェクト。主に以下3つの活動を行う。
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グラウンドの整備方法や野球道具の支援などプレー環境の整備を支援
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野球の技術に加え、スポーツマンシップを育む日本型野球の指導方法(ベースボーラーシップ教育)を普及
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甲子園大会のような国内大会を各国で開催し、目標を持って挑戦する機会の提供
これまで、タンザニア、ガーナ、ナイジェリア、ケニア、南スーダン、ベナンの各国野球・ソフトボール連盟と「ベースボーラーシップ教育パートナーシップ協定」を締結し、事業を開始。各国の国内大会は、タンザニアが昨年12月に第10回大会を開催。今回のケニア甲子園はアフリカで2か国目の開催。ケニアで第一回名の大会。ガーナ、ナイジェリアでは、2024年以降の開催を予定。
■(*3)ベースボーラーシップ™教育とは
J-ABSが独自に開発した、野球・ソフトボールの指導を通して青少年少女の「規律・尊重・正義」などの精神を育む教育メソッド。「ベースボーラーシップ™」は英語のBaseball(野球)+Sportsmanship(スポーツマンシップ) をかけ合わせたJ-ABSの造語。
同メソッドは、「ベースボーラーシップ教育55の柱」と題した教本(英語版、フランス語版)とパワーポイント224枚のスライドを活用してセミナー形式で行うもので、14時間(2日間)かけて行う基礎コースと、5時間かけてグループワークを行う実践コースの2種類がある。
2022年5月から2023年5月までの期間で、ガーナ、ナイジェリア、ケニア、南スーダン、タンザニア、ベナンの6か国にて開催し、のべ約300名が受講。受講者アンケートでは、各国平均90%以上の受講者が、セミナーの内容に、100%もしくはそれ以上に満足したとの結果が出ている。
J-ABSが展開する「アフリカ55甲子園プロジェクト」のメインコンポーネント。
<プロフィール>
松井秀喜 (まつい・ひでき) J-ABS エグゼクティブ・ドリームパートナー
元プロ野球選手/Matsui 55 Baseball Foundation 代表理事
1974年6月12日生まれ。石川県出身。188㎝/95kg。
現役時代はニューヨークヤンキースや読売ジャイアンツでプレー。現在 ニューヨーク在住。
MLB:ワールドシリーズ優勝1回、ワールドシリーズMVP1回、オールスター2回 等
プロ野球:日本シリーズ優勝3回、日本シリーズMVP1回、リーグMVP3回、オールスター9回等々、2013年国民栄誉賞。
友成晋也 (ともなり・しんや) J-ABS 代表理事
1964年7月16日生まれ。東京都出身。大学卒業後、民間企業勤務を経て1992年JICA(独立行政法人国際協力機構)に入職。1996年にJICAガーナ事務所所員、2012年にJICAタンザニア事務所次長、2018年にJICA南スーダン事務所長など3カ国通算8年半アフリカで勤務。2020年末にJICAを早期退職し、現職。慶應義塾高校、慶応義塾大学で野球部に所属。ガーナ・ナショナル野球チーム監督、タンザニア・ナショナル野球チーム監督、南スーダン・青少年野球団監督を歴任。
著述等:
・「アフリカと白球」(2003年発刊、文芸社)
※ビートたけし氏が帯コメントに登場(出演中のテレビ番組でガーナ国代表チーム監督としての奮闘ぶりを紹介)
・「野球人、アフリカをゆく」 (朝日新聞のウェブメディア「論座」2019年5月~2020年8月、南スーダンの活動など31回連載)
・米ニューヨーク・タイムズに「アフリカに野球を根付かせた日本人」として紹介され、2021年ニューズウィーク日本版で「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。野球界からの選出は大谷翔平選手、ダルビッシュ選手、友成の3人。(2021年ニューズウィーク夏季合併号 掲載記事)
■「アフリカ55甲子園プロジェクト」
J-ABS が進める主軸事業。アフリカの54か国と1つの地域を対象に、野球を通じた人づくりと競技の普及を目的に、アフリカ各国で全国大会(甲子園大会)開催を25年計画で広げていくプロジェクト。
主に3つの活動を行います。
1. グラウンドの整備方法や野球道具の支援などプレー環境の整備を支援
2. 野球の技術に加え、スポーツマンシップを育む日本型野球の指導方法を普及
3. 甲子園大会のような国内大会を各国で開催し、目標を持って挑戦する機会の提供
今回、ナイジェリアでは、上記2.として人づくり野球セミナー、元日本メジャーリーガー(松井秀喜氏、川上憲伸氏)による遠隔野球技術指導、人づくり野球協力協定締結を行うほか、上記1.として東京2020オリパラのホストタウンであった千葉県木更津市からの野球道具寄贈式などを実施する予定です。